やっとこさネット証券口座開設ができたはいいけど、実際にトレードをしようと思ったら注文方法がいくつもあって訳がわからない。そんな壁にぶつかって頭を悩ませていませんか?
売買をするにしても、注文方法によっては自分の意志と違う価格で約定してしまう可能性もあります。「安く買おうと思っていたのに、なぜか高い価格で買付けしていた」なんていうことは、絶対に避けたいですよね。
今回は、そういった間違いを起こさないようにするため、取引の種類や注文の使い分けについて紹介していきます。
現物取引
自身の現金のみで株を買うという、いたってシンプルな取引になります。その時々の市場の時価で計算した売買代金を受け渡すことで行われています。この通常の取引のことを現物取引といい、「現物」と省略して呼ばれています。
現物取引では、持っている資金の範囲内でしか株式を購入することはできません。ある程度の元本があれば証拠金不足になることは考えにくいですが、小資金の運用においては買付け余力が限られるため、取引に制約が出てしまうのがデメリットとしてあげられます。
しかし、現物取引にもちゃんとメリットがありますので安心してください。その中の1つが、元本の範囲内で買付けをしているので、信用取引にある金利が掛かるようなことがないということです。また、返済期限もないため長期保有をするのであればこちらを選びましょう。
信用取引
現金や株式を担保として証券会社に預け、証券会社からお金を借りて株式を買ったり、株券を借りたものを売ったりできるのが信用取引となります。現物取引とは違い、預けた株式や現金を担保にしてレバレッジを掛けることで、評価額の最大約3.3倍まで取引ができます。
現物取引しかできないと買いたくてもお金が無いときには買えない、また、保有していない株券がなければ売ることもできません。こういった環境では市場に参加できる人が限られてしまうため、売買高増加と市場における公正な価格形成促進を目的とした制度が用いられています。
信用取引において、約定後に反対売買や現引・現渡されずに残っている未決済のポジションを建玉(たてぎょく)と呼びます。この建玉は、保有資金を超える額のお金を借りて株式を買付けしたり、持っていない株式を借りて売却(空売り)といった方法でポジションを取ることができます。
買いで信用取引注文を行うことを買建(かいだて)、反対に金融業者や証券会社から株券を借りて市場で売り注文を出すことを売建(うりだて)といいます。信用のポジションを解消する際は、主に買建は市場にて売却、売建は市場から買ったものを返済することでリセットできます。
信用取引のメリットデメリットについては、別の記事で詳細に取り上げていますので確認してみてください。
制度信用
投資家が証券会社から資金や株式を借りて取引をする方法です。しかし場合によっては、証券会社の資金や株式が不足することがあるため、証券会社が証券金融会社という機関から借り受けて取引を成立させることがあるのが制度信用取引になります。
制度信用が使えるのは、証券取引所が定めた「制度信用銘柄選定基準」と「貸借銘柄選定基準」を満たした銘柄が対象となります。現物取引では、反対売買の期限はありませんが、この制度を利用すると取引が約定した日を起算して6ヶ月の間に返済しなくてはなりません。
短期的な売買を目的とした取引であれば、一般信用より金利が安く設定されているため、一見分があるようにみえますが、空売りが多く入った売り長の状況だと逆日歩が発生することもあるので、信用の取組を必ず確認してから利用してください。
一般信用
投資家と証券会社の間だけで信用取引が完結する信用取引です。一般信用では、制度信用で取り扱っていない銘柄を扱っているケースもあるので、投資家にとっては自由度が高い取引制度となっています。
証券会社に返済する金利は、制度信用より高く設定されていますが、返済期限がないため、返済期日による強制決済はありません。また、信用売残が極端に偏った際に発生する逆日歩(ぎゃくひぶ)がないため、場面によってはコストを抑えられることもあります。
現引(げんびき)
買いの建玉を決済する際、代金を払って株式を引き取る方法です。別名、品受(しなうけ)ともいい、建玉を売却せずに信用取引を完了でき、その後も現引した株式(現物)を持ち続けることができます。現引する場合は、買いの建玉と同等の資金を用意する必要があります。
信用買いをしたあとに株価が上昇し、さらなる値上がりが期待できるときなどに保有期間を延長するために活用します。
現渡(げんわたし)
売りの建玉を決済する際、保有する同一銘柄の現物を引き渡す方法です。別名、品渡(しなわたし)ともいい、将来の値下がりリスクに備えるために利用される、両建てを用いた注文です。
信用売りをしたあとに同一銘柄を現物で保有していて、今後も下げ止まらないと判断したときなどに使われます。
指値注文
希望する価格をあらかじめ設定した注文方法です。この注文では、株価が希望した価格にならなければ売買が成立しないので、買えない(売れない)ことがあります。そのため、売買のチャンスを逃してしまうこともあります。
また、注文が極端に一方に偏って、買い気配(売り気配)のまま株価が推移しているときは、指値注文でも希望した価格より高く(安く)なることもあります。
成行注文
成行注文は「いくらでもいいから約定を優先」するため、いち早く取引を成立させたいときに使用する注文方法です。指値注文と違い、取引が成立しても自分が望んでいた価格で手に入るかは約定するまでわかりません。いち早く株式が欲しい場合は成行注文が適しています。
しかし、ストップ高買い気配(ストップ高売り気配)や連続買い気配(連続売り気配)のような極端に注文が偏っているときは、成行注文でも約定しない場合がありますので注意が必要です。
逆指値注文
価格が上昇して「指定した株価以上になれば買い」、価格が下落して「指定した株価以下になれば売り」、という発注条件を細かくした注文方法です。通常指値注文で、「指定した価格以下で買い」、または「指定した価格以上で売り」とすることと逆の注文方法であることから逆指値と呼ばれています。
主に、下落時のポジション解消や、レジスタンスライン高値ブレイクのエントリーなどに使用されます。相場を確認できないときやアクティブに発注ができないときなど、これを活用することで保険(チャンス獲得)として機能する、非常に使い勝手の良い注文方法です。
まとめ
いかがでしたか?
取引にあたっては、状況に応じた複数の注文方法があることを紹介させていただきました。より優位に取引するためには、予算や条件に合ったものを選択することによって、利益に直結させることができます。
頻繁に取引する方であれば、取引手数料の安い証券会社にしたり、長期保有を目的とするのであればツールの使いやすさを重視するなど、用途に応じて使い分けることが重要です。
取引の注文方法は投資家として必要不可欠なものですので、この機会に全部覚えて優位なものを選択していきましょう!