テクニカル分析からトレードをしてみよう!と考えたところで、何を参考にしていいのかわからない…。そんな悩みを持たれていませんか?
前回の記事では、チャートから容易に判断ができる移動平均線を使ったシンプルなトレードについて紹介しましたが、さらに確度を上げるため、移動平均線を進化させたMACDを活用して、売買タイミングという重要な判断材料を手にすることができます。
今回の記事では、テクニカル分析でワンランク上のMACDを使いこなせるようになるよう、特徴や売買ポイントを解説していきますので、ジックリ読んでみてください。
目次
MACDとは
MACDとは「Moving Average Convergence Divergence 」の略で、日本語に直すと移動平均収束拡散手法という、堅苦しい名前となっていますが、投資家の間ではマックディーとの愛称で呼ばれています。
主な活用方法としては、トレンドの判断や売買ポイントを掴むために用いられることが多く、移動平均線と同じようにチャートに自動で表示することができるので、特に難しい知識がなくても簡単に使うことができます。
また、MACDは移動平均線の一種ではありますが、単純移動平均線(SMA)と違い、実際の株価の値動きに近い形で平均値を算出する、指数平滑移動平均線(EMA)のため、直近のトレンドを察知できたり、トレンドの転換点を早い段階で判断することができる重要な指標となっています。
直近の値動きを注視しながら明日の相場を予想するのであれば、1ヶ月前の株価よりも今日の株価を参考にすることで、今のトレンドに沿った価値の高い分析ができるのがMACDです。
実際の値動きに近い情報を優先させるため、2本の指数平滑移動平均線を使って株価を予測するものなので、単純移動平均線よりもトレンドの方向性を探るのに優れているとされています。
買いのシグナルや売りのシグナルを図るために使用されるもので、初心者の方でも容易にシグナルの発見が可能なのです。売買サインについては、別の項目で解説していきます。
MACD線
MACDは、MACD線とシグナルという複数の移動平均線から構成されており、この2つの線から売買サインを読み取ってタイミングを判断していきます。
MACD線は、期間の異なる2種類の指数平滑移動平均線(EMA)を元にして作られています。
■MACD
短期EMA - 長期EMA
シグナル線
わざわざシグナルなどという名前が付いているので、特別な線のような感じに聞こえますが、中身は非常にシンプルです。どういった線なのかというと、MACD線の一定期間のSMA(単純移動平均線)がMACDシグナルなのです。
つまり、MACD線は2種類の移動平均線の間隔、シグナルはその移動平均線ということです。
■MACDシグナル
MACDのSMA
計算方法
先にも解説したようにMACDに用いられる移動平均は、指数平滑移動平均(EMA)を使用するので、より直近の値動きを反映することから、単純移動平均(SMA)と比較して値動きに敏感に反応しやすくなります。
指数平滑移動平均が単純移動平均とどう違うのか、3日間の終値平均から各計算方法についてみていきましょう。
■単純移動平均
(1日目の終値+2日目の終値+3日目の終値) ÷ 3
■指数平滑移動平均
(1日目の終値+2日目の終値+3日目の終値+3日目の終値) ÷ 4
最終日の終値を2倍して計算するため、最新の株価の値が大きく反映されやすくなります。一般的なツールならチャート上で自動表示することができるので、意味さえ覚えておけばこの計算を覚えなくても問題ありません。
パラメータ
パラメータとは2つ以上の変数間の関数関係を間接に表すために用いる補助の変数です。簡単に言うと2つの指標からMACDを表すために必要な期間の異なる数値のことを指します。
短期指数平滑移動平均線と長期指数平滑移動平均線の数値を設定することで、MACDを表示させることができます。また、MACDの単純移動平均線(MACDシグナル)も重要となってきます。
一般的に使われている数値は、短期12、長期26、シグナル9に設定する場合が多いです。ただし、銘柄ごとやマーケットの状況に応じてパラメータ値の変更が必要となることもあります。
ゼロライン
値動きの強弱を知るために重要なポイントとされているのが、MACDのゼロラインです。MACD線やシグナルの数値を求めた時に、計算結果が0になるということを表しています。
ここからわかることは、ゼロラインより上でMACDが推移しているのか、それとも下で推移しているのか、また、線の向きがゼロラインに対して、どのように推移しているかを見ることで、トレンドを把握することができます。
トレードをしようと考えている時、ゼロラインより上で株価が下がっているなら強気相場と判断して押し目買い、逆にゼロラインより下で株価が下がるのであれば弱気相場と判断して空売りをするなど、この線を通して戦略が立てやすいことが特徴です。
ヒストグラム
MACDヒストグラムとは、MACDラインとシグナルラインがどれだけ離れているかを棒グラフで表示したものです。このヒストグラムの縦軸が長ければ長いほどトレンドがそれだけ強く、短いとトレンドが弱いということが瞬時に判断できます。
このMACDヒストグラムはMACDラインとシグナルラインの差を表しているため、2本のラインがゴールデンクロス・デッドクロスになる時ヒストグラムは0ラインの位置になります。
ヒストグラムが0ラインより上なら上昇トレンド、0より下なら下降トレンドと判断することができ、上下が切り替わるタイミングがトレンドの転換と判断することができます。
売買サイン
MACDの活用法として3つのポイントがあります。この売買サインさえ覚えておけば時間もかかりませんので、要点だけおさえておいてください。それぞれの売買タイミングをみていきましょう
ポイント① ゴールデンクロス・デッドクロス
ゴールデンクロス MACDがMACDシグナルを下から上に突き抜けるタイミングで買い(赤)
デッドクロス MACDがMACDシグナルを上から下に突き抜けるタイミングで売り(青)
ポイント② ゼロライン通過
ゴールデンクロス後、MACD線が0ラインを超えた時点で本格上昇と判断して追随買い。
デッドクロス後、MACD線が0ラインを下回れば本格下落と判断して追随売り。
ポイント③ 転換
上昇を継続しているところ、MACD線の勢いが弱くなり、横向きになり始めたら相場の転換(天井圏)と判断して売り。
下落を継続しているところ、MACD線の勢いが弱くなり、横向きになり始めたら相場の転換(底値圏)と判断して買い。
デメリット
良い部分を紹介してきましたが、MACDにも欠点はあります。トレンドが発生していない相場や急激に動くトレンド相場では、誤ったサインを出してしまうこともあり、株価の動きを正確に捉えられないことがあります。
この原因としては、指数平滑移動平均を用いることから、直近の株価を強く反映してしまうためです。急騰や急落といった激しい動きの中では役に立たないことがあります。
MACDは、短い時間足であればあるほどダマシが多く発生し、信憑性に欠ける売買シグナルが出現します。移動平均線を用いているという性質上、トレンドが出ていないレンジ相場では、活用が難しい場面もあるので注意してください。
大きな時間足でトレンドが出ている相場でも、短い時間足で表示させていると反対に相場が動いた際、MACDが反転シグナルを出すことが多々ありますが、これは根拠の弱いシグナルといえます。
根拠の強いエントリーポイントを絞るのであれば、短い時間足ではなく日足や週足などの長めの足での使用をしましょう。
まとめ
いかがでしたか?
直近のデータに比重を置いて算出するMACDは、今のトレンドや値動きの反転を察知しやすいという特徴を持っているということが、少し理解いただけたのではないかと思います。
また、MACD線とシグナルの2本の線を用いたゴールデンクロスやデッドクロスのサインからも戦略が立てることができ、テクニカル分析する上で非常に役立つ便利な指標です。
ただし、株価が乱高下する相場では精度が落ちてしまうため、他のテクニカル指標も使って分析しながら値動きに対応しなくてはなりません。誤ったサインに惑わされないよう、ローソク足や単純移動平均線と合わせてMACDを自分のものにしてください。