どうも、高橋です。
金融商品全般のマーケットにおいて、価格の上昇と下降は日常茶飯事に発生することです。
しかし、市場参加者が阿鼻叫喚となるような酷い下落や暴落というのは、過去の歴史を振り返っても,実は年に1回あるかないかの頻度でしか起こりません。
「じゃあ、めったに起きないなら大丈夫か」と、油断してはいけません。投資の世界では、たった1回の大暴落に巻き込まれるだけで、それまでコツコツ積み上げてきた資産の大部分を失ったり、
最悪の場合は口座がマイナス(退場)になったりする事態が平気で起こるからです。だからこそ私たちは、常に危険を察知するためのアンテナを張っておかなければなりません。

今回は、相場の天井圏で危険が迫っていることを知らせてくれる2つの前兆(サイン)についてお話しします。
- 相場の異変を知らせる「炭鉱のカナリア」
かつて炭鉱で働く人々は、目に見えない有毒ガスを検知するためにケージに入れたカナリアを連れて地下へ降りていました。
人間よりもはるかに毒素に敏感なカナリアが、危険を察知していち早くさえずりを止めることで、人間が身の危険を知って脱出することができた、という歴史に由来する言葉です。
マーケットにおいても、全体の暴落が本格化する前にいち早く、危険信号を発して鳴き止む指標が存在します。
有名なところでは、市場の恐怖心を示すVIX指数(恐怖指数)がよく知られていますね。
この他にも、
オプション市場の動向を示す
プットコールレシオ
企業の信用リスクを映す
ハイイールド債(高金利のジャンク債)
相場の底流にある体力を示す
小型株指数(ラッセル2000など)
景気の先行きを占う
コモディティ(商品)価格
などが、相場の先行き不安をいち早く知らせてくれる炭鉱のカナリアとして世界中のプロに注目されています。

これら一つひとつの詳細な仕組みを解説しようとすると、かなり専門的で難しい内容になってしまいますのでここでは割愛します。
ただ、覚えておいてほしいのは、これらは日々のトレードで細かく使うものではなく、全体のトレンドの転換点を捉えるための「超マクロ指標」だということです。
そのため、出番としては年に1〜2回程度しかありません。
ですが、だからこそ「ここぞ」という大きな転換点を捉えるのには極めて有効です。ぜひ皆さんも、日頃から気長にこれらの指標の動きを追跡してみてください。
大怪我を未然に防ぎ、結果として大きなリターンを守ることに繋がります。
- 人間の心理に現れる「靴磨きの少年」
これはアメリカ大統領ジョン・F・ケネディの父親であり、自身も大投資家であったジョセフ・P・ケネディの実際の体験談と言われています。
1929年のある日、ケネディ氏が街頭で少年に靴を磨いてもらっていると、その少年の口から、
「おじさん、いま〇〇の株を買うと絶対に儲かるよ!」という具体的な投資話が飛び出しました。
これを聞いたケネディ氏は、ハッとしました。
本来なら投資に全く興味も縁もないはずの子供までが、こぞって株の儲け話をしている。ということは、もう市場にお金を投じる新しい買い手(カモ)は残っていない。ブームの終わりは近い。そう判断した彼は、すぐに保有していたすべての株式を売却。
その数日後に起きたのが、世界恐慌の引き金となった歴史的大暴落「ブラック・サーズデー(暗黒の木曜日)」でした。

ケネディ氏はこのサインのおかげで、壊滅的な被害を奇跡的に回避したのです。私は、この話は現代のマーケットでも、色々な場面に綺麗に当てはまると感じています。
例えば、普段は投資と全く関係のないジャンルで活動しているインフルエンサーたちが、こぞって「米国株を今すぐ買うべき!」と煽り始めたり、あるいは「これからは円安だから外貨を買おう!」という大合唱がSNSやメディアで巻き起こったりするのを皆さんも一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。
不思議なことに、そうした熱狂が最高潮に達した数日後には、大暴落とまではいかなくとも、相場が天井をつけて反転・下落していくことが本当によくあります。
過去の円安・外貨買いのブームの際も、ドル円が節目で綺麗に頭を打ってから、レンジ内でウロウロと調整する展開がありました。
もちろん、長期的なファンダメンタルズ(経済の基礎条件)で見れば、さらに上を目指しそうな雰囲気があっても、あまりに世間が騒ぎ立てるタイミングの悪さを見ると、「やっぱり靴磨きの少年の法則は健在だな」と、少し面白くなってしまうほどです。
投資の世界には、「人の行く裏に道あり花の山」という格言があります。

誰もが浮かれて同じ方向を向いているとき(表の道)は、すでに天井が近く、そこから得られる果実は少ない。むしろ、誰も注目していない裏の道にこそ、本当のチャンスや財宝(花の山)が眠っている、という意味です。
「強い相場だから」「みんなが買っているから」と焦って飛び乗るのではなく、世間の熱狂を靴磨きの少年ではないか?と一歩引いて疑ってみる。
そして、炭鉱のカナリアたちのさえずりに耳を澄ませてみる。
こうした冷静な視点を持つことこそが、相場という荒波で生き残り続けるための最大の武器になります。
皆さんも、日々のニュースやSNSの空気感から、ぜひ、靴磨きの少年のサインを探してみてくださいね。
それでは、また次回お会いしましょう!